「明るい=良いこと」という思い込み
おかえりなさい。今日も一日、本当にお疲れ様でした。
おうちに帰ってきてリビングのスイッチを入れたとき、パッと昼間のような明るさに包まれて「ホッとする」というより、どこか「目が冴えてしまう」ような感覚はありませんか?
日本の住宅では、天井にたくさんのダウンライトを均等に配置して、お部屋の隅々まで煌々と照らすのが一般的でした。でも、最新の研究では、この「夜の明るすぎ」が私たちの心と体に思わぬストレスを与えていることが分かってきたんです。
ヨーロッパに学ぶ「影」を愉しむ文化
照明デザインの先進国であるヨーロッパ、例えば北欧の家庭を覗くと、日本のような「一室一灯」の考え方はほとんどありません。彼らは、お部屋全体を照らすのではなく、「必要なところに必要な分だけ」の光を置くのがとても上手。
実は、天井から降り注ぐ強い光は、脳に「今はまだ昼間だよ」と誤解させてしまいます。
大切なのは、光を当てる場所を絞ること。ダウンライトの数を絞り、食卓やソファ横など、自分の居場所にだけ光を添える。すると、お部屋の中に心地よい「影」が生まれ、空間に奥行きとリズムが生まれるのです。
なぜ、間接照明は「夕焼け」であるべきなのか

ここで少し、最新の科学のお話を。
私たちは「サーカディアンリズム(体内時計)」というリズムの中で生きています。最近のエビデンスでは、夕方から夜にかけて2000ケルビンから2700ケルビン程度の低い色温度(一般的にオレンジ色の光の照明ですね)を低い位置で取り入れることが、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌をスムーズにすることが証明されています。
間接照明が「夕焼け」のイメージに近いのは、単なる雰囲気作りではありません。
人類が誕生してから数百万年、私たちは沈みゆく太陽の光を浴びて、一日の終わりを感じ取ってきました。壁や天井を優しくなめるような低い位置の光は、脳にとって「休息のサイン」。夕焼け色の間接照明を取り入れることは、私たちのDNAに刻まれた「安らぎのスイッチ」を入れる儀式のようなものなのです。
フロアスタンド一台で、夜はもっと美しくなる
「でも、工事をして照明をやり直すのは大変そう……」
そんな方にぜひ試していただきたいのが、フロアスタンドの有効活用です。

お部屋の隅や観葉植物の背後にそっとフロアランプを置いてみてください。
天井の照明を消し、その一台を灯すだけで、見慣れたリビングがドラマチックなリラックス空間に早変わりします。光が壁に反射して広がることで、視覚的な刺激が抑えられ、自然と呼吸が深く、ゆっくりになっていくのを感じられるはず。
おわりに
照明は、単に「照らすための道具」ではなく、あなたの毎日を包み込む「空気感」そのものです。
今夜は少しだけ、お部屋の明かりを落としてみませんか?
夕焼けのような優しい光の中で、温かいハーブティーでも飲みながら、心ゆくまで自分を甘やかしてあげてくださいね。
